「子猫がいる」
「うちの庭を、見た事のない小さな子猫が、得意げに歩いてた!」
母ちゃんが私にそう言ったのは、二週間くらい前でしょうか。
「は?」
「黒くて茶色で、小さいの!」
この辺で最近子猫が生まれたなんて話は聞いたことがないぞ。
それから数日、どんなに見回しても、そんな子猫はおらず。
「…母ちゃん最近、老眼とドライアイが酷いよね…。加齢による幻で気のせいじゃね?」
「ううっ、否定ができない…」
そんなこんなで10日くらい経過した頃。
普段聞かない鳴き声が、どこからともなくするようになりまして。
明らかに子猫の声。
それも絶対にお母さんを探してる、必死な子猫の声。
これは明らかに、近くにいる!
ハラハラしていると、ついに外猫さんの餌場に現れました。
猛暑続きの八月真っ只中。
喉が渇いてしょうがなかったのでしょう、水を求めてフラフラしてる子猫の姿を、やっと見る事ができました。
小さい!!
たぶんまだ2ヶ月、いっても3ヶ月。
でもこんな子猫の行動範囲内で、外飼いで産んだなんて全く聞いたことがない。
模様も見たことがない。
どこから来たの??
謎のまましばらく日数が過ぎても、まだうちの庭周りをウロウロ。
「怖くないよ、餌もあげるよ。こっちにおいで」
そう言っても、近寄るとすぐにサッと逃げてしまう。
これは困った…。
そんな子猫は、人間は怖いけど、猫は好き。
外の他の猫にニーと鳴きながら近寄って行っては、シャーシャーと拒絶され、しょんぼりする子猫。
そして母猫を求めて、昼も夜も鳴き続けていました。
それはもう悲痛な叫び声でした…。
なんとかしてあげたいのになあ…。
水と子猫用の餌を用意して、様子を見る日々。
そんなある日、子猫は家の中の吟ちゃんに気付き。
吟ちゃんも子猫に気付き。
近寄っても拒絶しない吟ちゃんに、子猫は大喜び!
小さな体で、必死に腕をのばして、窓越しに二匹で遊び始めた。
これはいけるかも!!
そして昨日、子猫が通れるだけの隙間を開けておいたら、子猫が自分から我が家に入ってきました!
吟ちゃん大はしゃぎーー!!
ニコの通院用に買ったソフトケージが、こんな形で使う日が来るなんて。
数十年、猫を飼ってますが、初めての多頭飼いです。
名前は「麦」にしてみました。
小さな小麦は大麦となり、ビールになるか焼酎になるかウイスキーになるか。
乞うご期待!